フィクション:家造り物語2

あくまでもフィクションを前提とした、家造り物語の第2回目。 今回は購入費用と、購入後に掛かるお金についてです。
イラスト

Aさんご夫妻の家造り物語。フィクションですので悪しからず。
 30代前半のAさんご夫妻が家造りを目指します。まずは土地探し。すべての条件は叶わなかったけれど、希望に近い土地が見つかりました。お子さんの小学校区は変わりません。土地の面積も向きも言うことなし。ただ、やはり想定予算内では収まらず、予算よりオーバーしてしまいます。

編集部
さて、かたくなにフィクションという流れで進行して参ります。土地は見つかりました。次はどう動きますか? 実際、何をすればいいんでしょう?
稲 垣
不動産屋さんに土地を仮押さえしていただきます。あくまでも“仮”押さえなので、そんなに悠長には構えていられません。ここからはスピード感を持って動きます。まずは金融機関に借入れの事前審査をしていただきます。通常であれば、いきなり借入れの申し込みはできませんので事前に審査してもらうわけですね。年齢や勤め先、家族構成、もちろん年収も。大金を借りるわけですからシビアに判断されます。
 そこで手持ち資金、土地の購入費用、住宅の建築費用などを合わせて考えて事前審査してもらうわけです。もちろん金融機関が申込者(今回で言えばAさん)の返済可能金額を超えて融資することは有り得ませんし、僕らの会社としては目一杯の借入れはお勧めしていません。
よく、家賃と同額の返済金額で家が建つと言う触れ込みがありますが、実際に返済金額が現在の家賃と同額で、しかも家賃の支払いに余裕をあまり感じて居られないとしたら、かなり厳しいと思います。例えば現在のアパート家賃が8万円(少し高いかな?)とします。
返済も同額の8万円を考えたとしても、土地を買い、家を建てるということは資産を持つということですので、この国は資産を手に入れる時、資産を持ち続ける間にはそれぞれ違う税金が掛ります。現在の家賃がカツカツ、ギリギリの金額ならそれと同額は危険ですし、上回ることは絶対に回避しないといけません。
編集部
何気なく話してますが、それは住宅業界の人間がエンドユーザーに対して言うことのタブーなんではないですか? いや、うまく説明できませんがギリギリまで借入れしてもらった方が建築屋さんとしてはありがたい……というか『返済に余裕を』なんて、どこかのノンバンクのテレビCMみたいな事を実際言うんですか?
稲 垣
当たり前じゃないですか。僕らの仕事は『家』という商品を売りつけることでは断じてない。住まいというハードを通してお客様のお客様らしい暮らし方のお手伝い、つまりサポートをさせていただくことです。僕らがお手伝いした住まいが元でご家族が不幸になったり、何かを極端に我慢することを強要するなら本末転倒な話です。

土地・建物の購入後に掛るお金

稲 垣
さて、話の腰を折られましたが(笑)話を戻します。土地を購入する、家を建てるということは資産を持つこと、とお話しました。
○不動産取得税
土地、建物を購入した場合に掛る税金。不動産取得税はその名の通り「取得」に掛る税金なので取得時1回のみです。不動産価格の3%の税金が掛りますが、ここで言う不動産価格とは売買価格、あるいは建築費用ではなく、固定資産税台帳に記載される固定資産税評価額が元になります。実際は軽減措置がありまして、驚くような金額にはならないお宅が多いです。
○固定資産税
土地、建物それぞれに課税されます。春になって気分が良くなる頃に納付書が郵送されてきて気分を害します(笑)。固定資産税も課税対象は評価額ですので実際の取引金額ではありません。取引価格と評価額は普通は……と言うか僕が知っている限りは評価額の方が金額が低いです。
○保険関係
アパート住まいでも生命保険には加入されていると思いますが、ローンを組めばローン残高に見合った生命保険に加入しなければなりません。債務者が万が一の時、はっきり言えばお亡くなりになった時に残高と生命保険で相殺します。命を担保に取られてると言うと大袈裟ですが、金融機関も慈善事業ではないので当然かと思います。ちなみに各銀行の住宅ローン数種類は、生命保険加入金額を銀行負担というローンもありますが、今の主流、フラット35というローン商品では生命保険加入金額銀行負担はありません(フラット35では生命保険は強制加入ではありません)。生命保険の他に、火災保険も借入額を充当できる分は加入します。担保である住宅が火事で燃えてしまって、火災保険にも加入していなかったら金融機関は返済してもらえないことになりますので。まあ、火災保険はローンを組む組まないに関係なく皆さん掛けられています。
編集部
僕も払いましたよ、不動産取得税。驚くほど安かったと記憶しているのは軽減措置があったからなんですね。稲垣さんが言われるように気候が良くなってきて気分が明るくなる頃に届く固定資産税の納付書……。固定資産税は確か3年毎に見直されて徐々に税額は安くなるんですよね。僕が家を建てた当時、月々ウン万円を上限に考えていました。返済はそれを少し超えてしまったのですが、税金の他にも月々の光熱費とかがアパートで暮らしていた時より高くなりました。まあ、今は子供もある程度の年齢なので自室に居ることが多く、光熱費が高くなることは当たり前といえば当たり前なのですが。
稲 垣
そうですね。新築住宅の断熱性を向上させてもアパート暮らしの時の光熱費よりは金額は増えてしまうでしょうね。それだけ無駄なエネルギーを使っているということなのですが、いくら気を付けていてもなかなか難しいかもしれません。客観的に見ても今は住宅ローン金利はかなり低いです。各金融機関で若干の差はありますが、フラット35という住宅ローンでは、現在の金利が2.5%程度。長期優良住宅なら当初10年間はマイナス1%。11年目以降20年までがマイナス0.3%になります。つまり当初10年間は1.5%金利ということになります。『長期優良住宅』は当然のことながら一定の基準をクリアする必要がありますが、現在私どもがお手伝いしている住宅は100%長期優良住宅ですので決して特殊なものではありません。  そして、Aさんの家造り物語はいよいよ話題の本質、住まいへのこだわりと、その具現化へと話が進んでまいります。
編集部
そうです。フィクションとして話は進んでまいります。