外来種の脅威〜シロアリの話

連載当初にテーマとしてお伝えした“色”のお話。 今回は個人的な感覚を織り交ぜながらの対談となりました。
イラスト
稲 垣
前回からこの紙面での僕の顔写真が変わりました。非常に評判悪いです(笑)。
編集部
そうですかねえ……。前の写真より優しげに見えていいのではないかと僕個人は思ってますが。
稲 垣
優しげに見えるのはバックの照明が蛍光灯なのか白熱灯なのかが関係していると思っています。前の写真は蛍光灯の下で撮影したので全体的に白っぽい。今回の写真は白熱灯の下での撮影なので全体的に暖かく見えるのではないでしょうか。
 色の話題を続けます。色の心理的効果で有名なのは男性のスーツ、シャツ、ネクタイのカラーコーディネイトの話が有名ですよね。アメリカ大統領選挙の際はどの候補も濃紺のスーツに白いシャツ、赤いネクタイ。これは色の心理的効果をついたものだそうです。濃紺のスーツは「男性的・冷静さ」をイメージし、白いシャツは「清潔・上品」を表し、最後に赤いネクタイで「活動的・情熱的」という印象を与える効果があると言われています。このように色には好き嫌いの他にその色から受ける印象もあるようです。もうひとつ例を挙げますと、サッカーの韓国代表のユニフォームは真っ赤です。これは手前に迫って来るように見える暖色で進出色の赤を使うことで相手を圧倒したいということと、文字通り「燃えるような」赤に身を包むことによって相手を圧倒し、着ている本人も気持ちを鼓舞する狙いがあるという話を聞いたことがあります。僕個人的にも日本VS韓国のサッカーの試合をテレビで見ていると、韓国代表のほうが強そうに見えてしまいます。
 赤つながりで話を続けますと、赤に近い朱色は日本古来の色とされています。これにもちゃんと理由があって、古来の神社仏閣などの木造建築は風雨にさらされて腐りやすく、劣化が激しかった。それを防ぐために朱色の“漆(うるし)”を塗った。だから日本では朱色が古くから身近にあったわけです。神社の鳥居も今はコンクリート製なんかに変わってますが、いまだに朱色が多いですよね。このように色には不思議な印象と思い込みがたくさんあります。なぜ結婚式のネクタイは白で葬儀は黒なんでしょう? 僕の勝手な想像ですが、誰かが決めたのではなく、その色から受ける印象で自然に決まってきたものなのではないか? と思っています(違っていたらすいません)。
 例えばご家族で、あるいはお仲間で温泉に旅行に行ったとします。普段和室を利用しない若い方でもそういう時は洋室よりも和室を好まれるんだそうです。以前宿泊した温泉宿の女将さんがおっしゃっていました。女将さんは「若い方でも日本人は和室が落ち着くのかもしれませんね」と話されていたのですが、どうしてだと思いますか? これまた僕の勝手な想像で申し訳ありませんが、理由は二つあるんだと思います。一つ目は若い方にとっては純和風の和室はすでに非日常になっていて、自分が普段慣れ親しんでいる空間とは違う空間を求めるという、旅行ならではの感覚。二つ目は、女将さんが言っていた「日本人には和室を求めるDNAが備わっている」的な話ではなく、柱の木の色、天井の木の色、壁の土色、畳の薄い緑、などのインテリアカラーが明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)を抑えた後退色で、決して明るくないけれど、広く見え、落ち着くからではないのだろうか?
 そんなことを考えつつ話を聞いていました。もちろん色の好き好きはあるので一概には言えないのですが……。
色の好き嫌いが存在する理由とは?
稲 垣
人にはなぜ好きな色、嫌いな色が存在するのかというと、理由は実に単純で、例えば小さい頃、青い服を着ていたときに青が似合うと誉められたとか、幼少期に偶然見てしまった交通事故の血の色が印象に残り、赤が大嫌いだとか。また、たまたま立ち寄った喫茶店がすごく落ち着いて居心地が良かったから好きなインテリアカラーはその喫茶店がベースになるとか。結構単純なんですよね。
 僕は、例えば身に付けるものなら茶色とか緑が好きじゃない。茶色とか緑ってアースカラー、つまり地球の色って印象もあるので基本、色としては嫌いではないのですがどうしても身に付けられないんですよね。いつ僕が茶色と緑に拒否反応を起こす出来事があったかわかりませんけれど。
 住まいの色ということで言えば最近、床以外は壁も天井も真っ白と言うお宅を雑誌でも、実際でもよく目にします。白は基本的に膨張色とか進出色とか呼ばれる色のカテゴリーに分類されますので、部屋が狭く感じます。迫って来るように見えてしまうということです。同じ白であっても真っ白に近ければ近いほど光の反射も多くなります。反射率が高いということはそのまま膨張率も高くなりますので、真っ白い壁ほど狭く見えてしまうということになりますね。
もちろん真っ白は明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)とも高いので部屋を明るく見せるにはこれ以上ない色なのですが、明るさと視覚的に狭く見せない効果を両立するなら白より少しだけ抑えてベージュに近い白、オフホワイトなどを選ばれたほうが双方のバランスが取れると思っています。
編集部
なるほど。色の話はずいんぶん前、この紙面での「住まい講座」が始まってまもなくの頃、掲載した覚えがあります。色の温度とか重さの話は印象に残っています。稲垣さんが気を付けている配色ってあるんですか?
稲 垣
もちろんありますよ。例えばトイレや洗面所などの水廻りは清潔感を出したい。清潔感を出せる色というのは存在しますし、逆にそれをあまりにも誇張してしまうと寒々しくて居心地が悪い。子ども部屋にはこういう色を使わないほうがいい……といういくつかの論法はあります。けれど僕は思うんですね。あくまでも住まう人の好き好きを優先させるべきだと。その上でアドバイスもいたしますし、あまりにおかしければ他の提案をすることもあります。
色を選ぶのって住まい造りのひとつの山場でもあり、醍醐味じゃやないですか。そこを楽しまないのは損ですよ。だから住まい造りをされる方は設計者やコーディネーターに相談されつつ、ご自分の譲れない部分は主張してかまわないと思います。
編集部
稲垣さんは仕事中はほとんどスーツで、しかも色は黒ベース。で、夏でもあまりジャケット脱がないじゃないですか? それは色を意識してるんですか?
稲 垣
ええ。シャツはストライプとかありますけど基本は白ベースじゃないですか? 白は先ほどご説明した通り膨張色ですので……膨張して見えます。ああ、すいません……見えるだけでなくて元々膨張してるんですけど、それを少しでも抑えるために黒ベースのスーツで、人にお会いするときはジャケット必着です。ま、悪あがきです(笑)。