外来種の脅威〜シロアリの話

今回は少し難解なテーマについてお話いただきました。 できるだけ分かりやすく話を聞き出すこと……を心がけたつもりでしたが……。
イラスト
編集部
難しい話題らしきタイトルですね。僕は黙ってます。珍しく本気ですね?(笑)
稲 垣
珍しくって……毎回本気ですけど? 話の出だしは難しいですよ。CASBEE、キャスビーと読みます。2001年に国土交通省の主導下で(財)建築環境・省エネルギー機構(通称IBEC)内の委員会が開発したシステムです。評価の対象は住宅だけではなくて大規模な建築物も対象ですし、街造りやヒートアイランドといった分野にも枝葉が分かれます。もちろんこの紙面では住宅にのみお話いたしますが、一体CASBEEという建物を評価するシステムが何なのかと申しますと、住宅の環境性能を1住宅自体の環境品質、と2住宅が外部に与える環境負荷に分けて評価するシステムです。例えば住宅自体の環境品質の中には暑さ寒さ対策、維持管理のしやすさや住宅の長寿命化などの評価項目があり、環境負荷には建物の工夫で省エネ、設備の性能で省エネ、省資源対策や地球環境への配慮などが評価項目です。一部の政令指定都市では一定規模以上の建物はすべてCASBEEの評価書の提出を義務化しているところさえあります。
編集部
恐らくはものすごく噛み砕いてわかりやすく説明してもらってるんでしょうけれど、正直言ってチンプンカンプンです。
稲 垣
ですよね(笑)。一般の方に最初に説明するなら、すごく乱暴な表現ですが一番簡単に僕の言葉で表現すると『自分ちがどれだけ地球環境と家計に優しいか』を判断する指標と説明します。長く使われ、省エネや省資源性能が高ければ地球環境にも家計にも優しいわけです。“サステナブル建築とかサステナブル社会”って言葉ご存知ですか?
要は地球環境を保全しつつ持続可能な建築や社会ってことなんですが、特に住宅はあくまでも個人の資産、持ち物ではあるけれど、個人の物だからと言って湯水のように資源を使ってしまったり、個人の勝手だなどと地球環境に負荷を与えていい訳がないじゃないですか。だからCASBEEでの評価が高いということは社会的に見て環境に優しく、環境品質の高い住宅を後世に継承するという側面と、個人の持ち物としての住宅、つまり自分ちの資産価値の向上を期待できると言う側面があるわけです。実際、CASBEEのマニュアルには、良好な社会資産としての住宅建設は国民全体の義務とまで書いてあります。
 ちなみにこの制度は日本特有のものですが、先進主要国はすでに似たような評価システムを導入されています。将来的に、CASBEE評価が高いことは不動産売買する場合の価値向上や融資金利の優遇などにも発展させる可能性もあるということです。
 このシステムの中ではライフサイクルCO2を算定できるんですね。ライフサイクルCO2というのはその家の一生で排出するであろうCO2の総量、つまり家が生まれ(建設)、使われ(居住やリフォーム)、生涯を終える(解体・処分)までに排出するCO2の総量の予想が可能です。その評価の中には例えば新築する際に購入する建材の製造や運搬などで排出されるCO2、解体された後のその解体材の処分に使われるエネルギーなども含まれた物です。実際の家のライフサイクルCO2は建設時などとは比較にならないくらい居住時の排出量が圧倒的に多いです。全体の約7割をそこに人が住んでいる間に排出します。
編集部
わかったような、わからないような……。つまり、その家がいかに省エネ・省資源で地球環境を保全できるかという目安と考えてかまいませんか?
稲 垣
大雑把にはそれでかまわないと思います。と言うか、僕にもそれ以上の噛み砕き方はできません。ただ、環境保全だけにスポットを当てているわけではなく、例えば雨水の利用だったり、隣接するお宅への騒音、排熱、排気などにどのように配慮しているかとか、火災への備えや、泥棒などの犯罪への備えも評価されますので全部が全部地球環境の保全のためにということではありません。
中にはアフターメンテナンス的な、つまり取り扱い説明はできているかとか、定期点検の実施など、どちらかといえば僕たち建築屋のすべきことも評価対象に含まれています。
 ですので、間取りや敷地が違えば仕様が同じでも評価は変わりますし、逆に敷地や間取りを固定したとしても仕様が変われば評価も当然変わります。中には敷地、間取り、仕様は同じでも建築業者が変われば評価も変わってしまう可能性もありますね。評価項目の中ではそのお宅の居住者が持ち込む、例えばエアコンとか暖房器具などはもちろん、テレビ、冷蔵庫、照明器具なんかの環境性能も評価に含みます。ということは、建築屋だけが一人でどんなにがんばっても評価を上げるのには限界があります。
設計者とお客さんが相談しながら身の丈にあった我が家なりの環境性能を目標にできるわけです。決して背伸びした満点の環境性能を推奨するわけではありません。
編集部
少しずつわかってきた……のかな? 持込の暖房機器や家電製品まで評価対象となると今話題のエコポイント対象商品の方が評価が高いと考えて間違いないんでしょうね。もともと景気刺激策とはいえ、省エネ家電への買い替え推奨制度ですもんね。我が家のリビングに冬になると登場する開放型の石油ストーブなんて評価低いんだろうなあ(笑)。
稲 垣
あっ! 開放型のストーブ使ってる段階で最低評価のレベル1です(笑)。だいたい編集さんの家ってそんなに古くないでしょ? 駄目ですよ、開放型のストーブ使っちゃ。ストーブならFF式にしてください。
開放型ですと燃焼した石油なりガスなりはすべて水蒸気として室内に放出されます。硝子が結露するくらいならまだいいですけど、その水蒸気が見えないところで結露したら大変ですよ。
 家電に関することは編集さんの読み通りです。エコポイントって言葉だけが先走ってますけど、そもそもすべての家電製品にエコポイントが付く訳ではなく。国内統一の省エネラベル(トップランナー方式と言います)で☆印がいくつ以上の製品が対象になりますとかっていう制度ですね。☆五つが最高だったかなぁ? このトップランナー方式と言うのも改正されるたびにその時点でもっとも省エネな製品を基準にして厳しくなっていくので、家電メーカーも開発し続けるのは大変ですよね。
 ん? 少しCASBEEの話題から離れてしまいましたね。でも、環境を守ろう、資源を守ろうと言う動き、呼びかけは業界を問わず始まっている訳です。それが、家電業界のトップランナー方式であり、建築業界のCASBEEであるわけなんですね。僕はすべての住宅をCASBEE評価すべきだ!等とはまったく思ってません。
けれど、一般の方、特にこれから家造りを始められる方への説明責任が僕ら建築屋側には必ずあると思っています。
編集部
え〜、本当はこの難しい話題をもっと早く紙面に載せたかったくせに、評価員の資格試験が終わってなかったから書けず、試験が終わったら自信があるのか合格発表を待たず掲載に踏み切った稲垣さんだということを僕は知ってます(笑)。