外来種の脅威〜シロアリの話

皆さん、“シロアリ”ってジメジメした場所を好むものと思っていませんか? ところが怖いことに、外来種は習性が大きく違うらしいのです……。
イラスト
編集部
外来種ってまさかブラックバスとかブルーギルとかですか? 稲垣さん釣りなんてしましたっけ?
稲 垣
魚の話とは違うんですけどね。ブラックバスなんて話が出たから思い出したことがあります。名前も良くわからないのですが、喜多町や古正寺に小さな川があります。向陵高校の西側、ムサシの裏側、古正寺のdocomoの裏側を流れている、普段は水深50cmにも満たない川なんですけどね。  今はどうなっているのかわかりませんが、河川改修されたdocomoの辺りから喜多町側の上流に向うと、幅3m・水深50cmくらいで流れもほとんどない箇所がありまして、そこには小さなフナや30cmを超える鯉が釣れてました。ボクの子どもが幼かった時ですからもう7〜8年前ですね。そこでね、ボクも最初はびっくりしたんですが、ブラックバスやブルーギルが釣れたんですよ。15cmくらいの小さな奴なんだけど、街中のこんな小さな川にも外来魚がいるなら、よほど山奥の清流でなければ外来魚のいない河川なんかないのではないかと感じたのを思い出しました。
編集部
古正寺でブラックバス……。意外ですね。もともとはアメリカザリガニも外来種だけど既に市民権を得た感じですよね。日本固有のザリガニは既に天然記念物として指定されてるなんて話も聞きましたし……って住宅の話になるんですか?
稲 垣
この手の話はお互い嫌いじゃないですね(笑)。今回お話させていただくのは外来種と言っても、もちろん魚の話ではありません。シロアリです。具体名はアメリカカンザイシロアリ。先日NHKでも特集してましたし、ニュースでも取り上げられるようになってきたので名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
編集部
また「アメリカ」ですか……。
稲 垣
世界には約3000種のシロアリがいるそうです。その中で家屋に被害を及ぼすのはわずか3%弱。他のシロアリは森林に棲み、倒れた木や落ち葉を食べ、分解して土に戻すという立派な役割を持つ、いわば益虫です。シロアリというと蟻の仲間のように思われているかもしれませんが、実は蟻よりもゴキブリに近いんだそうです。もともとシロアリとゴキブリの祖先は同じだという話を聞いたことがあります。
 日本のシロアリは数種類生息しているのですが、家屋に被害を与える代表はヤマトシロアリとイエシロアリ。どちらが強烈かというとイエシロアリの被害のほうが甚大です。一説にはイエシロアリが世界最強という話もあります。ただ、イエシロアリは寒さに弱いため、今のところ新潟県は生息可能範囲外ということになってます。あくまでも“今のところ”ですけどね。温暖化が急速に進めばあと何年イエシロアリの生息範囲外だと言っていられるかわかりません。ですので、とりあえず当地でいうシロアリの殆どはヤマトシロアリです。
 でも、イエシロアリも少しだけ説明いたします。シロアリは湿気がないと生きられない、あるいは新しい材木より古い材木を好むという認識があると思うのですが、イエシロアリは古材より新しい材木を好みますし、自ら水を口に含んで運び、乾いた材木を湿らせてから食害するという脅威の能力を持ち、被害も家の至るところに発生するので大変恐ろしい。ただ、何度も言いますが当地ではシロアリと言えば『今のところ』ヤマトシロアリです。ヤマトシロアリは比較的食害スピードも遅く、湿った材木しか食害せず、被害も土台や柱の下部等、地面に近いところが多いです。これからの時期、梅雨に掛けてがシロアリのもっとも活発な活動時期なのですが、シロアリがどうやって移動するかご存知ですか? シロアリのほとんどは一生を土の中で過ごします。けれどある意味“選ばれし”シロアリがある日突然大嫌いなはずの太陽も下に飛び立つのです。それまではなかった羽をつけて。これがいわゆる『羽アリ』ですね。羽を持った選ばれしシロアリは自由に移動し、せっかく付けた羽をいとも簡単に落してしまい、再び土の中に潜り新しいコロニー(巣)を造ります。そしてそこから土の中、基礎のコンクリートや配管の隙間を通って家屋に侵入します。ですので、羽アリが家の中に飛んできていきなり柱や家具をムシャムシャと食べるわけではなく、在来種のシロアリは必ず土の中から進入を試みます。在来種のシロアリは「地下シロアリ」と呼ばれる所以です。ですので家の中で羽アリが見つかったら、どこかから我が家を狙ってやってきたか、我が家を食い物にして今、まさに飛び立とうとしているか、あるいは旅の途中か、のどれかです。
編集部
怖いことに笑いを交えようとしてますね(笑)。しかし外来種の話が一向に出てきませんが? アメリカカンザイシロアリはどうなりました?
稲 垣
アメリカカンザイシロアリの怖さは今までの在来種の説明がないとわかりにくいんですよ。アメリカカンザイシロアリはその名の通りカンザイを好みます。カンザイとは乾材。つまり乾いた材木。ここはイエシロアリにも共通します。ただ、食害に一切の湿気は必要としません。そして、地下シロアリとはまったく違い、飛来していきなり食害を始めます。ですので在来種の地下シロアリに対しては昔からよく言われるように、床下の風通しを良好に保って、材木を常に乾いた状態にしておけば比較的安心、などとは言っていられないのです。  地下シロアリの本部基地と呼べるコロニーではヤマトシロアリで1〜2万匹、イエシロアリで100万匹とも言われる数で構成されています。コロニーを基点として家屋を食害していきます。が、アメリカカンザイシロアリは大規模な本部基地を持ちません。今までの例ですとアメリカカンザイシロアリの被害家屋では数箇所から数十箇所の小さなコロニーが家中に点在して、シロアリの数も数百〜数千と、地下シロアリに対して少数精鋭なのです。このことはシロアリの存在自体に気付くのが遅くなってしまうということに繋がります。アメリカカンザイシロアリの体は大きいです。在来種が大きくても7〜8mmに対して外来種は10mmを超える兵隊蟻を持ちます。画像をお見せできなくて申し訳ありませんが、外来種は大きくてふてぶてしい。
編集部
なにかアメリカに恨みでも?(笑)では、予防や早期発見するためにはどうしたらいいんですか?
稲 垣
在来種の予防はとにかく床下をカラっとさせておくこと。湿った状態にはさせないことです。それには風通しを良くすることがもっとも大切。床下の風通しが悪ければ床下専用の換気扇なども一考です。アメリカカンザイシロアリに対しての予防は……テレビでも同じ結論だったのですが、今のところ有効な予防策はないと言うのが大方の見方です。が、家がぼろぼろにされる前に敵の糞を注意深く見つけること。1mmくらいの米粒が茶色く変色したような糞をコロニーの外に出しますので、砂のような不思議なものが固まってあったら専門家に連絡をしてください。ちなみに隣県ではアメリカカンザイシロアリの発生を確認している県がありますが、新潟県内では僕が知る限り今のところ発生はないようです。……が、発見がまだできていないだけで、発生はしていてもおかしくないですよね。  これから梅雨時期が羽アリの季節です。シロアリの予防、駆除の業者さんはまっとうな商売をされるところがほとんどですが、悪質な業者もないわけではないのでご注意ください。それこそ前回の紙面の流れで言えば、まずはご近所の建築屋、工務店、大工さんにご相談を! それから最後に。身近にブラックバスがいることを紙面上で書きましたが、良い子のみんなはお父さんやお爺ちゃん、必ずお家の人と一緒に行ってね!!
編集部
良い子のみんなと呼ばれる世代がこの紙面を読んでるとも思えませんが……。
稲 垣
確かにそうです。水辺の近くに行くときはお家の人と一緒だよ!!