ペットと暮らそう

今回のテーマは“ペット”と共生しやすい住まい。 ペットと暮らしたことはない……という稲垣さんの考えとは!
イラスト
編集部
おお! なんか久しぶりに新しい住まい造りの話題の予感がしますね(笑)。
稲 垣
うるさいなぁ……どうせ話題にボキャブラリーがないですよ。 実は我が家はペットを飼ったことがないんですね。息子が幼い頃に山や川で捕まえてきたカブトムシやクワガタやザリガニはペットとは言えないですもんね(笑)。 ペット=家族の一員という意味で言えば、僕はペットと暮らしたことはありません。嫌いなわけじゃなく、ずぼらな僕みたいのに面倒見てもらうほうがかわいそうだと思うから、かわいいとは思っても飼おうと思ったこと……正確に言えば僕に飼えると思ったことはありません。編集さんちはどうですか?
編集部
何年か前までどこかで拾ってきた猫がいましたが、ある日突然戻ってこなくて……事故にあったのか、食事に不満があったのか……(笑)。 しばらく子供は元気なかったですね。
稲 垣
じゃあその猫は家族の一員だったんですね。 家族の一員としてのペットを家に置いたことがない僕が、「ペットと暮らそう」なんてタイトルで関わり方を話すのはおこがましいことです。だから今回はあくまでも“建築的”なペットと共生しやすい住まいや、ペットのために何を考えるべきなのかをお話したいと思います。対象は室内で暮らすことの多い小型犬や猫を中心にお話します。 室内犬でも大型のものもいますが、当てはまる部分と当てはまらない部分があるということをご理解ください。まず部材についてお話します。  まずはペットに最適な内装。例えば床。どんな床がペットには最適なんでしょう? 小型のペットの場合、一番気を使っていただきたいのは床なんです。 足への負担を考えれば硬すぎず、滑り過ぎない床。本当は柔らかい床がいいです。例えば、杉やレッドパインなどの針葉樹の無垢材なんて柔らかさは最適だと思います。 ……が、柔らかい分ペットの爪であっという間に傷だらけになることを覚悟しないといけない。他にも針葉樹は多孔質ですので匂いが付きやすく、取れにくい。 そこに住まう人間とペットとのバランスを考えたらペットのためだけにあっという間に傷だらけになつたり、匂いの付きやすい床材はお勧めできないじゃないですか。 じゃあ、ナラやカバなどの広葉樹の無垢材はというと、無垢材でも広葉樹は硬いのでやはりペットの足への負担にはなりますよね。広葉樹に施す塗装も間違えてしまうと、かなり滑りますから硬さだけではなくて滑りやすさの点でも一考しないとまずいです。 意外かもしれませんが、滑る床材はやんちゃ盛りで元気な小型犬などでは足を滑べらせた拍子に肩を脱臼するなんてことも考えられなくはないのです。 で、無垢材信仰者の僕もペット対応ということでは建材メーカーのフローリングに軍配を上げざるを得ない。傷や汚れや滑りにくさを考えて造られているだけあって、無垢のフローリングでは肌触りと暖かさを除けば勝ち目はないと思っています。 ちょっとびっくりな話ですが、日常的に急な階段を上り下りするペットはヘルニアになりやすいんだそうです。 なんだか最近のペットはひ弱になったなと思う方もいらっしゃるかも知れませんが、実際そういった事例は少なくないそうですよ。
編集部
ペットが脱臼……ヘルニア……。なんか意外な話の展開です。
稲 垣
新築にしてもリフォームにしても、せっかくペットと暮らすんですから、人間にとってもペットにとってもストレスのない住まいにしたいじゃないですか。 どちらかが100%満足でも他方が不満足ではペットと一緒に暮らす家としては失格ですよね。ペットが付ける傷のことを言えば壁もそうですよ。 ただ、小型のペットですと爪の届く範囲も限られている。 だからペットが日常的にいる部屋だけは腰壁を回したい。もちろん傷の付きにくい材料で。例えばエレベーターの壁に貼られるような壁紙などの特殊なものならまったく傷が付かない壁紙もあるんですが、傷が付かない代わりに見た目も、肌触りも冷たくなってしまうので住まいの内装としては不向きです。 ペットを最優先して住まう方々が我慢しなければならないなんてことになったら、本末転倒な話ですから。天井材などでもペット臭を光触媒技術で分解除去する天井材も発売されてます。 まあ、ペット臭の除去方法については他にも様々な方法があるので、天井材までペット対応にする必要はないかもしれません。
編集部
稲垣さんが建材メーカーの製造した建材を薦めるなんて初めてじゃないですか?
稲 垣
そうかもしれませんね。でもきちんと考えられているから良い物は良いと思いますよ。その他でも小型のペットですと、コンセントでの感電なんてのもまったくないわけではないそうです。 心配な場合はコンセント自体をペットの届かない高さまで揚げてしまうか、カバー付きのコンセントにするってところでしょうか。正直、そこまで考えるのかぁと思われるかもしれませんが、お子さんを想うようにペットを想えばある意味当然なのかもしれませんね。現在はペット対応の建材や設備品が様々あります。 小型犬であればシャンプーできてしまうボールの深さが深めの洗面台、外部に付ける水道の水栓にお湯を通してシャワーも付けて足洗い場兼シャンプースペースを造るとか。ペットが自由に部屋を行き来できるような“くぐり戸”も最近は多く見かけるようになりました。大型犬であればドアのレバーハンドルを器用に開けて部屋を出入りするくらいは朝飯前なのかもわかりませんが、小型犬や猫ではそういうわけにもいかず、ドア自体にペット専用の小さなくぐり戸を付けるんですね。 こういったドアは、建材メーカー各社が発売しています。 が、実は今現在のお住まいのドアにも後付け出来るんです。もちろん、そのドアの形状などによって付けられない場合もありますが。
編集部
ペットと言っても家族の中心で考えたら色々なことを考えなきゃならないんですね。やっぱり我が家の猫は食事や様々なことが不満で出て行ったんだな(笑)。
稲 垣
特にこの時期、室内は乾燥してしまいます。 犬にしても猫にしても生き物ですから、過剰に乾燥した空間が体に悪いのは人間と一緒。日当たりや風通しなどの空気環境は人間が気持ちよいと思えばペットだって同じはずなんです。新築にしてもリフォームにしてもペットに偏ることなく、人間にとっても暮らしやすいベストなバランスを探したいところですよね。
編集部
ところで、稲垣さんところはペット対応リフォームなんてされないんですか?
稲 垣
あのねぇ……何度言えばわかるのかな……我が社は自社に大工職人がいるんですよ? そんな会社がリフォーム工事をしないわけがないでしょう!  むしろそこに住まわれながら工事の進むリフォームでは、自社職人の方が色んなご要望に即座に答えられるので強みだと思っています。
編集部
正直、稲垣さんが小型犬を抱っこしている姿を想像できませんが、ペット目線になって住まいを考えることはできそうな気がしますね(笑)。