「かたちあるもの」と「かわらないもの」

耐震性にこだわった家づくりを追求する稲垣建築事務所。その理由がついに明らかに!? 大切なお話なので、ぜひお読みください。
構造線イラスト

記憶に新しい7.13新潟豪雨。相次いで上陸する例年に比べて異常に多い台風と先日の地震。
地球がおかしい、怒っていると思っているのは私だけでしょうか?
 昭和36年2月2日・午前3時39分。マグニチュード5.2、長岡の震度4。
全壊220戸、半壊465戸。長岡地震です。真冬の大地震で積雪は2m以上あったそうです。
そのおかげで2階は傾いたり壊れたりしましたが、1階は雪の壁が支柱としての支えとなり、この程度の被害で済んだという見解があります。
もしこの長岡地震が雪のない時期に起きていたとしたら死者5名、負傷者30名という被害では済まなかったはずだと。逆に屋根に2mの積雪荷重を積んだ状態での地震だった故に被害が大きくなったとの別 の見解もありますが私は双方とも正解だと思っています。
そして昭和39年6月16日・午後1時01分。
マグニチュード7.5、長岡の震度5という新潟地震が起きます。
ちなみに記録的に新潟地震の新潟市と長岡市の震度はいずれも5。しかし新潟市と長岡市では倒壊被害に明らかに差がありました。
それは地盤。海沿いの新潟市の地盤の多くは砂地です。水分を多く含んだ砂の地盤が地震により激しく揺れると、砂という固体であるにも関わらず、液体のように流動化する地盤となります。
これが「液状化現象」と言われるものです。 古くは昭和2年10月27日、長岡市になる前の現在の関原、宮本地区及び現在の三島町鳥越付近の局地的地震「関原地震」はマグニチュード5.2でした。
さらに、震源地を長岡市から中越地域まで拡大すると驚くほど地震は頻発しています。
・平成10年2月21日
・平成12年3月19日
・平成13年1月2日
・平成13年1月4日
  最近だけでもこれだけの震度4以上(震源地近く・平成13年の2回は震度5弱)の地震が発生しています。私たちの住む長岡市は決して地震のない場所ではありません。
長岡市活断層地図というものがあります。この地図によるとその多くは信濃川に沿って分布しているのがわかります。活断層といえば阪神大震災の震源になったのも活断層です。
みなさんはフォッサマグナという言葉を聞いたことがあるでしょうか? 
古い話ですが「日本沈没」という映画の中で、日本列島が沈没するほどの大きな地震が起きるのですが、その地震の元凶とされたのがフォッサマグナです。
フォッサマグナは「大きな溝」という意味があり、新潟県糸魚川から静岡県の南端まで伸びる活断層の一種です。糸魚川市にフォッサマグナミュージアムという博物館があり、ご存知の方も多いはずです。
フォッサマグナは世界最大級の活断層です。しかし、実はフォッサマグナは糸魚川〜静岡線だけではない……といいますか糸魚川から静岡の南端を結んだ線(糸魚川〜静岡構造線)がフォッサマグナという「大きな溝」の南側の端っこでして、では北側の端っこはと申しますと、「柏崎〜銚子構造線」と呼ばれる、米山から房総半島の真ん中くらいを結んだ線が北の端です。
さらに、新発田市の海岸線から小出を結んだ「新発田〜小出構造線」と呼ばれるラインを結んで出来た範囲の内側全体(大まかにL型になりますが)が、フォッサマグナと言う世界最大級の「溝」なのです。どうでしょう、この日本が真っ二つになりそうな大きな溝の真上に長岡市はあるのです。

ここは「稲垣の住まい講座」です。
「地震の話」と銘打たず、あえて「かたちあるもの」と「かわらないもの」とタイトルを付けたのにはわけがございます。
言い古された言葉ですが、形のあるものはいつかその原型をとどめなくなります。
壊れたり、滅したり。色のあるものは日々退色していきます。住まいの屋根はどうでしょう? 
どんなに高級な屋根材を使っても今年より来年、来年より再来年のほうが退色が進んでいますよね? それを解決するのは私などではとても無理ですし、今の技術の総力を上げても無理かもしれません。
どんな地震でも倒壊しない建物を私は造れません。
阪神大震災と同等、あるいはそれ以上の耐震性を持つ建物は造れますし、現在も造っているつもりです。が、未曾有の大地震、地球上でいまだ人類が経験したことのないような地震が起きたとしたら、その時はわかりません……と言うのが本音です。
住宅は耐震性だけが大事なのではないと言うことは重々承知しています。
断熱性、デザイン、価格、シックハウス対策、バリアフリー……等々、皆さんがご自分のお住まいにおいて重要視されるのは様々です。
 しかし、耐震性以外の部分を私は怖いとは思いません。
断熱性もデザインも価格も私とお客様がご相談しながら決めることですから。
いってみれば計算できるすべてのことは怖くはありません。形があったり、数字にできるすべての事柄は解決できるはずなのです。その意味で私にとって最重要視すべきは「耐震性」。
その他は3番目も4番目もなく、すべてが等しく2番目に重要視すべきことなのです。
それこそが、私にとっての「かわらないもの」です。言い換えれば「信念」、あるいは「魂」です(ちょっとカッコよすぎますか?)。
日々変わっていく「かたちあるもの」をいかに考え、いかにご提案するかということこそが。
  カッコいいことを並べましたが、耐震性にここまでこだわるのは、実は私自身が地震や台風を異常に恐れたりする弱虫だからかもしれませんね(笑)。

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