シックハウス症候群と花粉症

編集部
今月はシックハウス症候群について教えてください。
稲 垣
シックハウス症候群というのは、家を起因として起きてしまう病気や体調不良の総称です。もともとはアメリカのビル清掃業者の作業員が新築ビルの清掃作業中に体調不良を訴え、その原因を探ったところ、新築のビルに使用されていた化学物質からくるアレルギー症状だったことからシックビル症候群と呼ばれたことが始まりです。
編集部
シックハウス症候群が起きる原因は何なんですか?
稲 垣
現在考えられている一番の悪役はホルムアルデヒドという化学物質です。この物質は新建材等に使用されているもので、ホルマリンが気化した毒性の高いVOC(揮発性有機化合物)です。ただ、シックハウス症候群の原因は化学物質だけではありません。カビやダニ、そしてその屍骸を吸い込むことで起きる場合もあるのです。
編集部
どんな症状が出るんですか?
稲 垣
因果関係ははっきりしていませんが、アトピー性皮膚炎の原因のひとつとしても考えられていますし、刺激臭による鼻や目の痛みなど症状は様々です。主な症状は「アレルギー」「化学物質過敏症」「多発性化学物質過敏症」「中毒」の4つです。
編集部
ご家族や知人にシックハウス症候群の方がいないから、身近に感じられないという人も多いと思うのですが。
稲 垣
では、ご家族やまわりに、花粉症の方が一人もいらっしゃらない方はいるでしょうか?シックハウス症候群も花粉症も“アレルギー”という点では一緒です。花粉症の方とそうでない方の違いは何だと思いますか?
編集部
体質や生活習慣ですか?
稲 垣
それもあると思いますが、一番の要因は“器”の違いです。「花粉」というアレルゲンに対する体内蓄積の許容量 の“器”の違いです。Aさんは花粉に対する許容量の器がビールジョッキくらいあり、Bさんはオチョコくらいしかなかったとします。同じ量 の花粉を吸い込めば、当然のことながらBさんの器の方が早くあふれてしまいます。去年まで平気だったのに、今年突然花粉症になった方をご存知ないですか? その方は器があふれてしまったのです。このあふれたということがアレルギーの発症=花粉症になったということです。器の大小は発症の早い遅いにつながります。今まで大丈夫だった人も来春、突然花粉症になるかもしれません。
編集部
つまり、シックハウス症候群も花粉症と同じで、いつ発症してもおかしくないということなんですね。
稲 垣
そうなんです。
室内画像
編集部
では、家の中から一切の化学物質を排除することは可能なんですか?
稲 垣
それは不可能ですね。たとえばコンクリートからはラドンという化学物質が放出されます。今の住宅でコンクリートを一切使用しない建物はありませんからね。申しあげたいのは、完全に排除はできないけれど、化学物質は極力少なくしなければならないということです。「理想の健康住宅はこれだ!」などと大上段に構えるつもりはありませんが、次代の子どもたちのために、現状で可能な限りはやりましょうよということです。

稲垣の住まい造り

やっぱり床は本物の木がいい。無垢(ムク)の床は湿度調整もしてくれるし、足ざわりもいいし。ただ無垢の床はフローリングに製材された後でも生きていますから多少のねじれや目地の隙間が広がるなんて事は覚悟しといて下さいね。湿度を調整するから、生きているから多少の狂いが発生するんです。でも、化学物質は含んでいませんよ。樹種としては杉、松、ヒノキ等の針葉樹(でも床にするには少し柔らかいかも)、桜、カバ桜、ブナ、栗、ナラ等の広葉樹です。無垢の床に素足の生活、気持ちいいですよ・・・ほんとに。

ポイント1

壁だってやっぱり無垢の木がいいけれど、床も壁も天井も木というのはあんまり好きじゃない(あくまでも私個人がですけど)。そこで無垢の木以外に体に優しい仕上げです。

ポイント2

しっくい
左官屋さんに塗ってもらうやつですね。今は色を付けたカラーしっくいもあります。

珪藻土
植物の藻が海中で化石になり土にかえったものでしっくいや土壁よりも湿度調整能力や防火能力が優れています。やっぱり左官屋さんの仕事ですね。ちなみにケーソウドと読みます。

その他の壁紙
今はビールの絞り粕からできたものや、ヒノキのチップからできた壁紙などいろいろな物がありますが、少なくともドイツの基準『RAL』や日本の『SV』マークの付いた壁紙を選びたいものです。もちろん布でできた壁紙もいいですよ。防虫や防炎加工していないのが前提ですが。

ポイント3

その他の壁紙 天井はしつこいようですがやっぱり無垢の木。でも日本人特有の『無節信仰』みたいなものは捨てて頂かないと、ものすごく高価なものになってしまいます。木は節があって当たり前。それは欠点ではなくその木そのものの味わいだと考えていただければ、節もきれいに見えてくると思うのですが・・・。床もそうですが、無垢の木は時間とともに深い色合いに変わり、建てた直後より数年経った方がきれいだったりします。

トップへ 次へ